東京タワーのふもと みんなでつくる子どもたちのふるさと

港区、東京タワーのほど近く、みなと保育サポート東麻布(以下、みなと保育)があります。待機児童解消のために始まった未就学児を預かる施設で、「ほくぽアート」と呼ばれる活動を通して子どもたちが自由に表現することを大切にしています。

みなと保育は、子どもをただ預かるだけではなく、子どもたちや保護者のニーズやスタッフも楽しむという気持ちを大切に、たくさんの行事を企画し、地域の行事にも参加してきました。

お天気の良い日には、東京タワーにお散歩に出掛けたり、小学校の跡地で運営しているので、広い校庭で子どもたちがのびのび遊んでいます。

校庭にある花壇をお借りして、枝豆やトウモロコシを育てました。「大きくなーれ」とみんなで水やりをして収穫することもできました。

夏には、ビニールプールやたらいを出して水遊びもしています。

子どもたちが自由に表現できる場「ほくぽアート」を行っています。今年は、保護者も一緒にアートを楽しもう! と段ボール迷路に家族で一緒にペイントをしました。地域の夏祭りでは、子どもたちとペイントした段ボール迷路でゲームを企画しました。

どの行事も、一人ひとりが意見を出し合い、みんなで作りあげています。今までの経験を生かして、それぞれの人が、得意分野で力を発揮してやらされることなく自分事として取り組んでいます。

子どもたちにとってみなと保育は、幼稚園に入る前に定期的に通う初めての社会です。

集団生活や色んなお約束に慣れていくことは大切ですが、『家族以外にも自分を受け止めて大切にしてくれる大人がいること、暖かい社会があることを伝える』をテーマに、誰かに大切にしてもらった思い出が、いつか一歩踏み出す時に子どもたちの背中を押すひとつになるよう子どもに関わってきました。

東京タワーの麓、ふるさとと思ってもらえるように活動をしていきたいと思います。

今回は、働くみなさんの座談会をお送りします。

ワーカーズコープを知ったきっかけを教えていただきますか?

施設長  大澤喜代美さん

大澤喜代美(以下、 大澤) 私は教育とか保育関係の仕事を探していたんですね。それで、朝日新聞で「雇われない、新しい働きかた」に関しての求人を見て、興味を持ったんです。人に言われたことをするのではなく、自分の思いをかたちにできると聞き、魅力を感じました。

遠矢澄子さん

遠矢澄子(以下、遠矢) 私は求人サイトで紹介されたんです。雰囲気や印象がよかったから、ここに決めました。特にワーカーズだから、ということでもありませんでしたね。

内山陽子さん

内山陽子(以下、内山) 私は、転職エージェントの紹介で、見学に来たんですよ。「ワーカーズ」というよりも「保育の現場」という印象でしたね。

天野諒太さん

天野諒太(以下、天野) 兄がワーカーズに入っていたんです。それで、働いているところを見せてもらったんですが、その時、いいところだなって思いました。

市川翠さん

市川翠(以下、市川) 小学校の時の児童館をワーカーズが運営していたんです。そこでアルバイトを始めたことがきっかけです。

みなと保育サポート東麻布で働こうと思った決め手はどんなところですか?

天野 体験で入ったときに、スタッフが優しく接してくれたのが嬉しかったんです。あと、子どもの笑顔に魅かれましたね。

市川 ママたちがいつも言ってくれているんですが、アットホームな室内で保育できることが大きいですね。

大澤 ここでは、今まで経験してきたこと全てが生かせると思いました。仕事とか子育て、介護、PTA活動、嫁としてやってきたことが、全て生きてくるんです。

市川 自分の意見も受け入れてくれる。否定されないというところがいいところだと思います。それによって自分の思ってることが言えるようになりました。それぞれの得意なことを生かせる場所、見つけられる場所だと感じます。

遠矢 スタッフの意見が採用されるというところがいいですね。そうすると、意見が出しやすくなるし、やる気が出るんです。

内山 面接時に「新しい事をやるのをどう思いますか?」「自分でやりたいこと、やってみたいことを形にしていってください」「何もないところから、始めるって抵抗感ありますか?」などたくさん聞かれたのを思い出します。

今思うと、それがワーカーズの根っこであり、現場のスタッフのモチベーションでもあったと感じます。

現場のスタッフが忙しいだろうに、明るく楽しく働いている姿、それぞれの得意分野を生かして仕事していることも印象的でした。

働く中で変化したことはありますか?

内山 前職は教員で、今は保育士ということもあると思いますが、「時間に追われてあるものをこなす」という感じから「自分でみつけてやっていく」という感じが強くなりました。

遠矢 保育内容はもちろん、行事から一つ一つの内容を自分も考えるようになってきました。

市川 自分の考え方が大きく変わったように思います。

以前の職場では、人に何かお願いするよりも、自分で動いた方が早いと思っていましたし、自分の弱さを他人にいうなんて、今までの自分にはなくて、良くないことだと思っていました。

でも、みんなで一つのことに向かっていく姿勢や、仲間と協力することの大切さ、頼っていいんだと思えるようになりました。あと、「ありがとう」が素直に言えるようになりましたね。

大澤 今までは、自己主張が激しかったのですが、自分の思いを主張するのではなく、みんなの意見を聞きながら仕事を進めることができるようになってきました。

何を大事に仕事をしていますか?

天野 子どもを大事にしています。

大澤 まずは、自分が楽しいこと。やりがいがあることを大事にしています。そしてスタッフ、利用者、子どもたちが、居心地の良い居場所であることを目指しています。

市川 子ども達一人ひとりと必ず関わろうとしています。

そして、子どもと関わるとき、遊ぶときは自分も子どもたちも“楽しい”と思える遊びをします。

私は、「どうせ私なんて・・」と思いながら育ってきたんです。関わっている子どもにはそんな思いをしてほしくないし、あんな事も、こんな事も楽しかったと思ってもらいたいなぁ・・と思っています。

遠矢 子どもの笑顔、パパ、ママの笑顔を大事にしたいと思っています。保護者への安心感、信頼感につながるように、子どもの楽しそうな姿をできるだけ多く見せられるようにしていきたいです。

内山 子どもと関わっていく仕事であるので、専門的なことはもちろんですが、大澤さんと同じように、まずは「自分が楽しい、おもしろい」と思えているかを大事にしています。

この仕事の奥深さや難しさ、意外な子どもの反応、保護者が抱えているものなど、答えがひとつではないというやりがいを感じています。自分がその楽しさを持っていれば、そのプラスの感情は子どもにも伝わると思うし心地良い環境にもつながると思っています。

最後の質問です。今後どんなことをしていきたいですか?

内山 私自身、現在の2歳の子を育てながら仕事をしています。

育児について言えば、この仕事をしていたから不安にならなかったということがあります。実際に子育てしていて、お家の人たちの凄さというのを感じることが出来ました。

私の経験はわずかなものですが、利用者やこれから利用するであろう方々の気持ちに寄り添っていけたらと思います。子どもたちやスタッフとは、やってみたいと思ったことにどんどん挑戦していきたいです。

遠矢 “子どものふるさとをつくる” いつになっても遊びにきてもらえるように・・。

天野 とにかく、頑張ります!

市川 色々ありすぎて模索中!

大澤 核家族化、孤立化が進む時代で子育て中のママ、ニート、高齢者、プレママetc・・誰でも来れる居場所づくりや仕事をつくることをしていきたいです。



新しい働きかた:012みなと保育サポート東麻布


みなと保育サポート東麻布は、待機児童解消のために、港区が設置した保育サポート施設です。2014年からワーカーズコープが委託されて運営しています。
利用対象は、港区在住の生後4ヶ月から小学校就学前のお子さんで、定員は20名程度です。
築きあう「保育内容」、支え合う「子育て支援」、広げ合う「地域づくり」を理念に運営しています。
住所 〒106-0044 東京都港区東麻布2-1-1 4階
TEL 03-5544-8461
FAX 03-5544-8462
WEBサイト http://sp.mhs-higashiazabu.com/

取材協力:みなと保育サポート東麻布
写真: 荒井絵理菜
文: 加藤陽子